セルロイドという材料を知ってますか?

古い人形やおもちゃでセルロイド製のものがあったことを知っている人もいると思います。

現在でも、ギターのピックにはセルロイドがよく使われていますし、一部ですがメガネのフレームや万年筆のペン軸にも使われています。

実はこのセルロイド、人類が初めて手にした合成樹脂、プラスチックなのです。

今では、利用用途も限られてしまったセルロイドですが、かつては幅広い用途に使われていました。

そのセルロイドの特徴や歴史について簡単に説明したいと思います。

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セルロイド発明の歴史

セルロイドが初めて合成されたのは1856年のことで、イギリス人のアレキサンダー・バーキスによるものです。

しかし、その時点ではコスト面の問題で広まることはありませんでした。

その問題を解決したのが、アメリカのジョン・ウェズリー・ハイアットで、1870年にビリヤード玉の材料として実用化されます。

セルロイドは、熱をかけると柔らかくなって成型できて、冷めると固まる「熱可塑性」という性質を持ったプラスチックです。

成型が簡単なことから、幅広い用途に使用されていくことになります。

象牙の代替

ビリヤードの玉は象牙で作られていました。
その代替としてセルロイドが使われたのです。
同様に、象牙が使われていた万年筆の筒や眼鏡のフレームにも利用されていきます。
当時、乱獲によって激減していた象を守ったのがセルロイドだと言ってもいいかもしれません。

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セルロイドの作り方

セルロイドの主原料は「セルロース」です。

≫≫セルロースとは? 植物が生んだ万能材料

セルロースは、植物の細胞壁や植物繊維を形成するもので、木綿はセルロースの糸ですし、紙の原料のパルプもセルロースです。

最近では、セルロースを使ったセルロースナノファイバーという材料が注目されています。

≫≫セルロースナノファイバー その特徴と製造法と広がる用途

このセルロースを化学処理(ニトロ化)してできた「ニトロセルロース」と樟脳を反応させるとセルロイドになります。

セルロースも樟脳も植物由来の成分なので、バイオプラスチックの一種と考えることができます。

セルロイドは本当に合成樹脂か

セルロイドは、世界初の合成樹脂と呼ばれることが多いのですが、分類方法によっては合成樹脂には入らないことがあります。

合成樹脂の反対は天然樹脂です。

この「合成」と「天然」をどこでわけるのか? それによって分類が変わってしまうのです。

樹脂成分は、分子が長く連なった構造の高分子と呼ばれるものですが、人工的に高分子を作った場合を合成樹脂と呼ぶことが普通です。

セルロイドの場合、原料のセルロースがすでに高分子です。

人工的に高分子化したものではないので、合成高分子とは呼ばないことが多いのです。

かといって天然樹脂そのものでもありません。

そこで、セルロイドは「半合成樹脂」という中途半端な名称で呼ばれることがあります。

セルロイドの隆盛と衰退

映画フィルム

セルロイドは象牙の代替だけではなく、写真や映画のフィルム、アニメのセル画など幅広い用途で使われていました。

また、おもちゃや人形の材料としても、1950年代まで広く使われていました。

発明されてから70~80年もの間、他に替わるものがないほど重要な物質だったのです。

しかし、セルロイドには大きな欠点がありました。

セルロイドの欠点

セルロイドの欠点、それは「とにかく燃えやすい」こと。

ニトロ化させた物質は、燃焼に必要な酸素を分子内に持つようになるので、燃えやすくなるという特徴があるのです。

ですから、ニトログリセリン、トリニトロトルエン(TNT火薬)など、ニトロと名の付くものには火薬が多く、セルロイド原料のニトロセルロースも火薬としても使われるものです。

セルロイド自身が火薬に近いものなので、摩擦熱などで簡単に発火し、セルロイド工場やフィルムを扱う映画館などで火災が多発してしまったのです。

合成樹脂の広まり

1940年代頃から、塩ビやポリエチレン、ナイロンなどの合成樹脂が工業化されて広まっていきます。

それにつれて、燃えやすいセルロイドは使われなくなっていきました。

そして現在では、ギターのピック、メガネのフレームや万年筆のペン軸のごく一部にしか、利用されなくなっています。

高級感のある手触りなど、他のプラスチックにはない特徴を持った天然由来の材料ですが、安全性に問題があっては用途が限定されるのも致し方ありません。


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