ダイオキシンと言えば、史上最強の猛毒として知られ、たった12キログラムで日本人全員を殺すことができるといわれてました。

実はこのダイオキシン「人に対する毒性は低いのでは?」という説が有力になってきているのです。

今回は、そんなダイオキシンについての話です。

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ダイオキシンとは?

ダイオキシンは、ダイオキシン類と呼ばれる化合物の総称ですが、ここでは最も毒性が高いとされる ”2,3,7,8-テトラクロロジベンゾパラダイオキシン” について説明します。

ダイオキシンは塩素を含むものを燃やすと発生するので、焚火や火事でも作られてしまうという厄介な性質を持っています。

あえて製造しなくても、勝手にできてしまうのです。

特に問題なのは、ゴミの焼却処理で発生するダイオキシンでした。

800℃以上で燃焼するとダイオキシンの発生がないため、現在のゴミ焼却処理では高温で燃焼させたあと、急速冷却するという措置が採られています。

ダイオキシンの毒性

モルモットにダイオキシンを与えると、体重1キログラムあたり、0.6マイクログラムのダイオキシンで半数のモルモットが死に至ります。

体重60キログラムに人に換算すると、36マイクログラムが致死量ということになります。

マイクログラムを太字にしたのは「致死量がマイクログラムの単位で表されるうような毒はほとんどない」からです。

毒薬で有名な青酸カリの致死量(体重60キログラムで約300ミリグラム)の、たった1万分の1の量です。

「ダイオキシンは青酸カリの1万倍も強い猛毒だ」

といわれるのは、ここからきています。

ダイオキシンは人に対しては猛毒ではない?

ダイオキシンは、動物の種類によって毒性が大きく変わることが知られています。

モルモットに対しては、体重1キログラムあたり0.6マイクログラムが致死量ですが、マウスでは1万倍近い多い5ミリグラムです。

モルモットとマウスで、約1万倍も違うのです。

このようにダイオキシンの毒性は動物の種類によって大きく異なることが問題をややこしくしているのです。

人に対してはどうなのか?

では、人間に対する毒性はどのくらいでしょうか?

答えはわかりません。

答えをはっきりさせるためには、人体実験をするしかないからです。

通常、薬品の毒性は動物実験の結果から、人間に対する毒性を推測します。

しかし、ダイオキシンは動物の種類によって毒性が大きく変わるので、推測が難しいのです。

その場合は、最悪の場合を想定するのが理にかなっているので、ダイオキシンが猛毒だと考えて対策を採ることが正しい選択でしょう(現状はそのように対策されてます)。

悲しい人体実験

危険

ダイオキシンが人に対する毒性が低いと言われ始めたのは、はからずも悲しい人体実験が行われてしまったからです。

セベソの事故

1976年イタリアのセベソにある農薬工場で事故が発生しました。

そのとき、推定で40~130キログラムのダイオキシンが周辺数キロに飛び散り、2万人近い人がそれを浴びました(避難が始まったのは事故発生から一週間後だそうです)。

放出量が、推定の最小の40キログラムだとしても、1億人分の致死量です。

このとき、死者はひとりも出なかったのです。

もちろん被害がなかったわけではなく、家畜の大量死や、体質によってクロロアクネと呼ばれる皮膚病を発症するなどの被害はありました。

ユシチェンコ氏暗殺未遂事件

2004年ウクライナの大統領候補だった ”ヴィクトル・ユシチェンコ” 氏の暗殺未遂事件が起きます。

詳しいことは不明ですが、食事にダイオキシンを盛られたそうで、推定2ミリグラムのダイオキシンを摂取したともいわれています。

致死量の50倍程度です。

ユシチェンコ氏は、体調を崩しクロロアクネ(皮膚病)によって顔が変形するくらいの発疹がでましたが、その後無事に回復し大統領の座にもつきました。

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ダイオキシン無毒説

ダイオキシンの毒性は、体内にある芳香族炭化水素受容体と呼ばれるものとダイオキシンが結合することで発現します。

モルモットの受容体とダイオキシンは強く結合しますが、人間の受容体との結合性は他の動物に比べても低いことが知られています。

メカニズム的にも、人間に対する毒性が低そうだという推測ができるのです。

その結果と、前述した事故や事件から「ダイオキシンは無毒だ」というダイオキシン無毒説を唱える人がいるようです。

確かに、ダイオキシンの人間に対する毒性は、モルモットに対する毒性よりもかなり低いだろうという状況証拠は揃っています。

かといって無毒という主張はいきすぎです。

毒物として取り扱うべき物質なのは間違いありません。

毒物

日本では致死量が体重1キログラム当たり30ミリグラム(ダイオキシンのモルモットに対する致死量の5万倍)以下のものが毒物として指定されています。この毒物の指定を外れるほど安全だというデータはどこにもありません。

ダイオキシンその他の毒性

ここまでは、ダイオキシンの急性毒性(摂取したときの致死量)で議論しましたが、ダイオキシンには、発がん性、生殖毒性、免疫毒性など多くの毒性があることが動物実験でわかっています。

ただ、これらの毒性は他の薬品に比べて特別高いというわけではありません。

発がん性を指摘されることも多いですが、ダイオキシンを発がん性が発現するほど多量に摂取することは、ほぼ不可能だというレベルです。

ダイオキシンの取り扱い

ダイオキシンは、以前盛んに報道されていたほど危険な物質ではなさそうです。

もちろん、動植物にとって何ら必要のない物質で、有害であることは間違いありません。

ダイオキシン類対策特別措置法』では、人が一日に摂取しても健康に影響ないダイオキシンの量を、体重1キログラムあたり4ピコグラムと定め、それを超えないように、管理基準や排出規制が決められています。

ピコグラムは1兆分の1グラムのことで、モルモットの致死量の10万分の1程度で管理されているのです。

人間に対する毒性は低そうだという状況証拠があっても、最悪のケースを想定して決めた基準をまもっています。

これだけの厳しい管理をされていることを考え併せれば、今では必要以上に恐れることはない物質だと思っていいのではないでしょうか?


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