ガリレオの落下実験 重いものも軽いものも同時に落下するのはなぜ?

ガリレオがピサの斜塔から、重さの違う物体を落とす実験で、同時に落下することを示したと逸話をご存知の人は多いでしょう。

でも、なぜ同時に落下するのか考えたことがありますか?

今回は、ガリレオの思考実験とニュートンの法則(簡単に触れる程度)から、同時に落下する理由を考えていきたいと思います。

ガリレオの実験

”ガリレオ・ガリレイ” は400年ほど前のイタリアの科学者です。

自然現象を、数学を使って表現する、実験して確認する、といった現在の科学的な手法を開発した「科学の父」とまで呼ばれる偉大な人物です。

そのガリレオが行った実験で一番有名なのは、物体の落下実験でしょう。

ピサの斜塔から、重さの違う物体を落として同時に落ちることを見出したというものです。

実はガリレオが本当にこの実験を行ったのかどうかはわかりません。

実際に実験していなかったという説の方が有力です。

落下の法則

紀元前のギリシャの哲学者 ”アリストテレス” は「重いものほど速く落ちる」と考えていました。

そのアリストテレスの考えは、2000年もの間ずっと信じられていたのです。

2000年後にそれを覆したが、ガリレオだったのです。

ガリレオの思考実験

ガリレオ

ガリレオは、物体の落下についての思考実験をしました。

頭の中だけで考える実験です。

  1. 重たいものほど速く落ちるとする
  2. 重さの違うふたつの物体をひもでつなぐ
  3. ひもでつないだものを落としてみる

という簡単なものです。

思考実験結果1

重いものほど速く落ちるのなら、重い物体は速く落ちたいけど、ひもでつながれた軽い物体に邪魔されて速度が遅くなるでしょう。

軽い物体は、ゆっくり落ちようとしますが、ひもでつながれた重い物体に引っ張られて速度が速くなるはずです。

結局、ひもでつないだ場合は、重い物体の速度と軽い物体の速度の中間の速度で落ちるということになります。

2キログラムのものと1キログラムのものをひもで結んで落とすと、1.5キログラムのものと同じような速度で落ちるといった感じです。

思考実験結果2

視点をかえてみましょう。

ふたつの物体をひもでつなぐと、全体としてひとつの物体になったと考えることができます。

ふたつの物体が結合したのですから、その重さは両方の物体の重さを足し合わせたものになります。

重いものほど速く落ちるのですから、ひもでつないだ物体は、つなぐ前の重い物体よりも速く落下することになります。

2キログラムのものと1キログラムのものをひもで結ぶと、合わせて3キログラムなので、3キログラムのものと同じ速度で落ちるといった感じです。

思考実験の結論

このふたつの結論は、両方とも重たいものほど速く落ちるという仮定から導かれます。

そして、互いに矛盾した結果です。

逆に軽いものほど速く落ちると仮定しても同じ矛盾が起きてしまいます。

そうなると「物体は重さに関係なく同じ速度で落ちる」とするしかありません。

ガリレオにとっては、実験するまでもない当たり前の結果だったのです。

なぜ落下速度は重さに関係ないのか

重さに関係なく、同じ速度で落ちるというのは、空気抵抗のない真空状態での話です。

空気中で行うと、物体の形状や重さにもよりますが、落ちる速度は変わってきます。

ただ、真空中では、同じ速度でなければならないことは、ガリレオの思考実験から明確です。

なぜ、速度が同じになるのでしょうか?

ニュートン力学

ガリレオが亡くなった年に生まれたのが、”アイザック・ニュートン” です。

ニュートンは、ガリレオなどの研究を引き継ぎ、ニュートン力学を完成させました。

ニュートンの法則に従えば、重いものも軽いものも同じ速度で落ちることを示すことができます。

ですが、これは簡単な問題ではありません。

ニュートンの運動法則

ニュートンの運動法則では、物体の加速度は力に比例して質量に反比例します。

質量が大きい、重たいものほど加速されにくいのです。

重たいものを、加速させるためには大きな力が必要になります。

ニュートンの万有引力の法則

ニュートンの万有引力の法則では、質量が大きいほど強い重力がかかります。

重たいものほど、大きな重力で地球に引っ張られるのです。

重たいものほど加速されにくく、重たいものほど大きい重力が働く、このふたつの効果が相殺されて、重いものも軽いものも同じ速度で落ちることになります。

ちょっと問題提起

少し奇妙な気がしませんか?

ガリレオの思考実験から、重いものも軽いものも同じ速度で落ちることは当然のこと、基本原理のように思えます。

しかし、ニュートンの法則では、質量が大きいほど加速されにくい、質量が大きいほど重力が大きいという、ふたつの法則が上手く相殺された現象として説明されます。

質量には「加速されにくさ」という性質(慣性質量と呼ばれます)と、「重力の大きさ」という性質(重力質量と呼ばれます)、全く無関係に思えるふたつの性質があって、それが偶然ぴったり一致しているということです。

同じ質量でも全く違う性質で、それが一致している理由はニュートン力学では説明できません。

※本当に一致しているのかという確認実験が何度も行われていますが、今のところ実験精度内で一致している結果しか出ていません。

ガリレオの思考実験の明解な答えに比べて、ニュートン力学での説明が少し苦しいように感じませんか?