気圧の単位として「ヘクトパスカル」が使われています。

他では聞くことのない「ヘクトパスカル」というのは、一体どういう単位なのでしょう。

歴史を追って、わかりやすく簡単に説明してみます。

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気圧の単位その1:mmHg

1945年までは、気圧の単位としてmmHgが使われていました。

現在でも「血圧」を表すときに使われているもので、ミリメートルヘイチジー、ミリメートル水銀と呼びます。

これは、気圧を測定する方法に由来した単位です。

大気圧の測定法

図のように、片方を封じた管に水銀を入れ、ひっくり返して水銀に漬けます。

すると、水銀の重さで管内の液面が下がります。

管の上部は真空で圧力ゼロ、菅以外の部分では大気圧がかかっています。

その圧力差と水銀の重さが釣り合ったところが、液面になるのです。

その液面の高さを読み取れば、大気圧の大きさを測定できて、それをmmHgと呼んでいるのです。

地表では通常760ミリメートルくらいになります。

そこで、760mmHgを1気圧と呼び、大気圧の基準とするようになりました。

ちなみに、血圧の場合に今でもmmHgを使うのは、最近まで水銀血圧計を使っていたことによるものです。

水銀柱の高さ

1気圧は760mmHg、水銀柱の高さは760ミリメートル、76センチメートルになります。
図を見ると簡単そうですが、菅の長さは76センチメートル以上なければならず、かなり長いものです。
重たい水銀だからこの長さで済みますが、水を使うと10メートルにもなってしまいます。

気圧の単位その2:トル

トル(トールともいう)は、Torrという記号で表されるものです。

実は、Torrは、mmHgと同じ単位になります。

水銀気圧計を発明した ”エヴァンジェリスタ・トリチェリ” の名前にちなんで名づけられた単位です。

工学の分野では、mmHgではなくTorrを使います。

≫≫トリチェリの実験とは? 人類が始めて真空を作り出した方法

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気圧の単位その3:バール

mmHgは「水銀」という特定の物質から得られるものなので、物理的な単位としてはふさわしくありません。

物理的な単位は、長さや重さ、時間などの基本単位を組み合わせて作ることが望ましいからです。

そこで、バール(b)という単位が作られました。

106 ダイン(記号: dyn、力の単位)の力が 1平方センチメートルの面積に働くときの圧力と定義されています。

長さ、重さ、時間の単位として、センチメートル、グラム、秒を使って表すものですが、1バールが1気圧に近くなるように、人為的に106をかけて作った単位です。

※1気圧は1.013バールになります。

天気図などで表すときは、1.015バールといった少数点を使うと表現しにくいので、バールの1,000分の1を示すミリバールを使って1,015ミリバールといった表し方をしていました。

気圧の単位その4:パスカル

血圧計

その後、色々な単位を統一しようという動きが始まります。

長さ、重さ、時間の単位として、メートル、キログラム、秒を使うMKS単位系を元にした、国際単位系(SI単位系)を使うことになりました。

その国際単位系では、圧力はパスカル(記号:Pa)で表されます。

「人間は考える葦である」で有名な ”ブレーズ・パスカル” にちなんで名づけられた単位です。

1ミリバールが100パスカル、1気圧が約100,000パスカルです。

ヘクトとは何か?

大きな数値を表すときには、キロやメガといった接頭語が使われます。

国際単位系では、103ごとに、1,000をキロ、1,000,000をメガ、100,000,000をギガ、その後、テラ、ペタ、エクサと続く接頭語が使われています。

※小さい方は、ミリ、マイクロ、ナノ、ピコという接頭語を使います。

ヘクトパスカルのヘクトも接頭語です。

100,000を表すのですが、キロやメガと違って普通は使われないもので、国際単位系の基準にもありません。

ただ、気圧の場合はそれまでミリバールを使っていました。

その数値がいきなり変わると混乱を招きます。

実は、1ヘクトパスカル=1ミリバールで、ヘクトパスカルを使えばそれまでのミリバールと同じ数値になるのです。

そこで、気象用語では混乱を避けるために「ヘクトパスカル」という他では使わない単位で表すことになったのです。

こうして、他で聞くことのない「ヘクト」という接頭語がついた単位が使われるようになりました。

ちなみに一般に物理で圧力を表すときは、キロパスカルやメガパスカルを使います。

ですが、生活に密着しているものに関しては、混乱を招くので「血圧」はmmHg、気象用語の「気圧」はヘクトパスカルと、数値を変更しないようにしているのです。


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