説明深度の錯覚とは? 知ってるつもりになる理由

自分では知っていると思っていたことを、何かのきっかけでよく知らなかったことに気づいた、という経験はありませんか?

「あいつ全然わかっていないのに、知ったつもりになっている」

人のことをそう思ったことはありませんか?

どうやら、人間は「知ってるつもり」になりやすい生き物のようです。

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説明深度の錯覚とは?

”スティーブン・スローマン”、 ”フィリップ・ファーンバッグ” というアメリカの認知科学者が書いた『知ってるつもり 無知の科学』の中に「説明深度の錯覚」という言葉が出てきます。

これは、認知科学者 ”フランク・カイル” が「人間には、物事の仕組みをわかっていると過大解釈する習性があるのではないか」と考えて編み出したものです。

スティーブン スローマン (著), フィリップ ファーンバック (著), 土方 奈美 (翻訳)

説明深度の実験例

本中で例として挙げられている実験例を紹介しますので、自分が質問を受けたつもりで読んでみて下さい。

被験者に、下のような質問をします。

1.あなたはファスナーの仕組みをどれだけ理解しているか、七段階評価で答えて下さい。

2.ファスナーはどういう仕組みで動くのか、できるだけ詳細に説明して下さい。

その後に最後の質問をします。

3.もう一度、あなたはファスナーの仕組みをどれだけ理解しているか、七段階評価で答えて下さい。

どうでしたか?

ほとんどの人は、最初の評価よりも最終的な評価点を下げるのです。

これが「説明深度の錯覚」です。

なぜ評価が下がるのか

ファスナーは「左右が互い違いに組み合う」という仕組みだということは何となくわかります。

でもそれを詳細に説明しようとすると、「どんなしくみで組み合うのか」「組み合った後どうして離れないのか」「外すときはなぜ外れるのか」など、詳細まで知らないことに気づきます。

そして、理解度の評価を下げるのです。

説明深度の錯覚はどんな場合でも起きる

ファスナーだけでなく、水洗トイレやヘリコプターなど色々なもので同じ実験をしたところ、全てのもので説明深度の錯覚が起きたそうです。

モノだけでなく、政治や経済、科学知識、自分の懐具合まで、同じように錯覚することも確認されました。

また、インターネットで無作為に選んだ人も、一流大学の学生でも、どんな人でも同じで、知的水準が高い人からといって説明深度の錯覚からは逃れることができないことも明らかになっています。

結論、自分の知識を過大評価するのは人間の習性です。

意見や信念の影響

知識

自分の知識を過大評価した場合、単なる知識で留まらない場合があります。

知っているつもりになって、強い意見や信念を持つところまで広がります。

信念の説明深度の錯覚

強い意見を持っている人に、説明深度の錯覚の実験を行うとやはり同じような結果が得られるようです。

政治的な意見を持っている人に、その政策を導入したらどんな影響があるか詳細に説明するように求めます。

そうすると、少し意見がやわらぐのです。

知らないことが多いことに気づいて、少し考えなおすのでしょう。

知ってるつもり 無知の科学” の中には、そのような例も多く紹介されています。

理由の説明では意味がない

信念がやわらぐのは「どのような影響があるのか」という因果関係を説明してもらった場合です。

なぜ、その政策を支持するのか詳細に説明してください

理由を説明してもらった場合は、信念は変わらないどころか、逆に信念が強くなったりするようです。

通常は、因果関係を議論することは少なく「なぜ、それを支持するか」という議論の方が普通なので、説明深度の錯覚に気づきにくいのです。

なお、説明深度の錯覚が起きる原因については別記事で考察しています。

≫≫思考停止は悪いことではない? 知っていると錯覚する理由

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説明深度の錯覚の使い方

人間には、よく知らないのに、知っているつもりになったり、強い意見を持ってしまう習性があるのは事実のようです。

これは仕方ありません。

でも、ここまでの話ではっきりしたことがあります。

仕組みや因果関係を詳細に説明してみる」ことで、自分の理解度を冷静に判断できるということです。

身の回りにある膨大な情報を全部理解することは不可能です。

どうでもいいことは「説明深度の錯覚」に、はまったままでもいいでしょう。

ただ、自分が重要だと思うことに対してだけは「仕組みや因果関係を詳細に説明してみる」ことで、理解度を試してみてはどうでしょうか?

スティーブン スローマン (著), フィリップ ファーンバック (著), 土方 奈美 (翻訳)

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