家電の中でも、仕組みがわかりにくいものの代表が電子レンジではないでしょうか?

私たちの生活になくてはならないものですが、その仕組みを理解している人は少ないようです。

そこで、電子レンジの仕組みをわかりやすく解説してみたいと思います。

知っておくと、電子レンジでの調理の失敗が少なくなるかもしれません。

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電子レンジの構造

電子レンジの心臓部は、マグネトロンという電波を発生させる装置です。

そして、電波が壁で反射されるように庫内を金属で覆い、加熱ムラがないように工夫する(ターンテーブルなど)と電子レンジの出来上がりです。

そう電子レンジは、電波によって加熱する装置なのです。

電子レンジというより電波レンジと呼んだ方が良いかもしれませんね。

この電子レンジに使われているマグネトロンは、電波の中でもマイクロ波と呼ばれるものを発生する装置です。

マイクロ波とは何か?

光や電波は、電磁波と呼ばれるもので、波長によって性質が変わってきます。

電磁波を波長によって分類してみます。

大まかな分類

電磁波の分類

一番波長が短いものがγ線で放射線の一種です。

レントゲンで使うX線、紫外線と波長が長くなっていき、紫外線より波長が長いものが可視光線、目で見ることができる光です。

可視光線より波長が長いものが赤外線、それよりもさらに波長が長いものを電波と呼んでいます。

電波の分類

電波は、更に細かく分類されています(分類の仕方は色々あるので、これが絶対ではありません)。

電波の分類

電波の中で一番波長が短い(0.1ミリメートル~1メートル)ものがマイクロ波です。

そこから、超短波、短波、中波、長波、超長波と波長が長くなっていきます。

マイクロ波の特徴

電波は、ラジオ、テレビ、無線など、通信分野で使われています。

波長が長い電波は、建物の影になっていても、回り込んで伝わるという性質を持っています。

これが、放送や通信に向いている大きな理由です。

しかし、マイクロ波は、波長が短いため回り込みが少なく直進するという特徴があります。

波長が短い光が直進するのと同じような現象です。

ですから、マイクロ波は通信にはほとんど利用されず、直進性を活かしてレーダーに利用されていました。

マイクロ波で加熱される

マイクロ波で加熱されることが発見されたのは偶然でした。

戦時中、レーダーの製造をしていたアメリカ人の ”パーシー・スペンサー” が、レーダーの照射部にいるとポケットの中のチョコレートキャンデイーが柔らかくなっていることに気づきました。

そして、戦後になってマイクロ派で加熱する実験を行い、電子レンジを開発したのです。

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電子レンジで加熱される仕組み

では、なぜマイクロ波で食品の加熱ができるのでしょう。

そこには「水」が大きくかかわってきます。

水の分子構造

水は、酸素と水素が結合した、化学式H2Oで表される分子です。

酸素原子と水素原子では、酸素の方が電子を引き付ける力が強く、全体的に電子は酸素の方に偏ります。

電子はマイナスの電荷を持っているので、酸素側が若干マイナス、水素側が若干プラスの電荷を帯びることになります。

そして、水はブーメランのように折れ曲がった形をしているので、全体としてプラスの電荷とマイナスの電荷に偏りが生じるのです。

水の分極

電波による水の運動

電波は電気的な波です。

波の周期に合わせて、電気的にプラス、マイナスと電場の方向が変化していきます。

すると、その電場に合わせて水分子が向きを変えるのです。

水分子回転

水分子が回転運動するので、運動エネルギーが発生し、その運動エネルギーが周囲に伝わって温度が上がるという仕組みです。

電波の周波数による違い

それなら、どんな電波を使っても良さそうな気がします。

でも、そう簡単にはいきません。

電波の周波数が非常に高く、プラスマイナスに変化する速度が速すぎる場合、水分子は追従して動くことができません。

また電波の周波数が低く、プラスマイナスの変化がゆっくりだと、水分子の運動エネルギーが小さすぎて温度がほとんど上がりません。

その間のちょうどいい周波数で、加熱が起こります。

それがマイクロ波の領域なのです。

電子レンジに使われる周波数

電子レンジで使われているマイクロ波の周波数は、2450メガヘルツと決まっています。

これは、1秒間に24.5億回振動していることを表していて、その時の波長は約12センチメートルです。

電波は通信用に周波数が割り当てられているので、勝手に周波数を決めれることができません。

2450メガヘルツは、電波法で通信用以外に使ってもよいと許可されている周波数なのです。

2450メガヘルツ

電子レンジの2450メガヘルツは、ギガヘルツで表すと2.45ギガヘルツです。
2.4ギガヘルツ帯(2.4~2.45ギガヘルツ)は、Wi-Fiにも使われている周波数です(Wi-Fiには、5ギガ帯も使われています)。
Bluetoothも2.4ギガ帯を使っています。
家庭用に使える電波は限られているので、どうしても同じ周波数を使うことになっていまいます。
これが電子レンジとWi-Fiの相性が良くない原因です。

水が一番激しく動く周波数は

周波数が高すぎても低すぎてもダメで、ちょうどいい周波数でなければならないことを説明しました。

実は一番水を激しく動かす周波数は、数千ギガヘルツです。

電子レンジの2450メガヘルツよりも1,000倍も高い周波数です。

ですから、2450メガヘルツでは、最大の時と比べると、水が動く速度がゆっくり過ぎて運動エネルギーはそれほど大きくないのです。

内部から加熱される仕組み

でも、これは欠点ではありません。

電波のエネルギーが全て水の運動エネルギーに変わると、電波は消えてしまいます。

一番運動エネルギーが高くなる周波数では、温めたいものの表面で一気に運動エネルギーに変わってしまい、奥まで到達できません。

表面の0.1ミリだけが一気に加熱されるという結果になってしまうのです。

しかし2450メガヘルツだと、電波は対象物を少しずつ加熱しながら奥まで入っていきます。

純粋な水を使った場合でも、数十センチメートル中までマイクロ波が届く周波数なのです。

内部から加熱するのには、この方が適しているのです。

加熱しきれずに通過してしまった電波は、電子レンジの側面で反射されて、また対象物に当たるので、エネルギーが無駄になることもありません。

電波法で決められた周波数ですが、電子レンジとして使うのにちょうどいい周波数だったのです。

※マイクロ波加熱だから内部から温められるという説明を見かけますが、内部から温めるような周波数になっているというのが本当なのです。

水以外は温まらないのか?

水以外のものは、温まることはないのでしょうか?

食品の中には、水以外にも電荷の偏りがある物質は含まれています。

しかし、偏り自体が小さく、自由に回転しにくい構造になっていますので、普通は水を含んだものだけが温められると思って問題ありません。

アルコールはマイクロ波で動くので、お酒を温めるときはアルコールの発熱もあるでしょうが、この場合でも多くは水による発熱と考えていいでしょう。

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仕組みから考える電子レンジ

ここまで説明した仕組みがわかれば、電子レンジの特徴が理解できたのではないでしょうか?

少し質問をしてみます。

氷は電子レンジで溶けるか?

氷を電子レンジに入れると、どうなるでしょうか。

氷も水分子でできているので、温度が上がって融けてしまう

これは、間違いです。

氷は、水分子が結晶になったものです。

マイクロ波で動かそうとしても、がっちりと結合していて、動くことができません。

もちろん、氷が少し溶けて水が付着していれば、その水が加熱されて温度が上がりますが、完全な氷はほとんど温度が上がりません。

電子レンジでホイル焼きは作れるか?

具材をアルミホイルで包んで焼く、ホイル焼き。

これを電磁レンジで作ることはできるのでしょうか?

これは無理です。

金属はマイクロ波を反射します

アルミホイルにマイクロ波が当たると、それを跳ね返してしまい中の具材には届きません。

アルミホイルの中身は元のままです。

電子レンジのマイクロ波は外に出ないのか?

電子レンジは、マイクロ波が外に漏れないように作られています。

少しくらい漏れても危険性はありませんが、エネルギーのロスにもなってしまうからです。

ですから、内部をマイクロ波を反射する金属で覆っています。

でも、電子レンジは正面からは中が見れるようになっています。

ここから、マイクロ波が漏れないのでしょうか?

電子レンジの正面には、穴の開いた金属板があり、その穴を通して中が見えるようになっています。

電子レンジに使っているマイクロ波の波長は、約12センチメートルです。

実は、マイクロ波はこの波長より小さい穴を通過することはできません。

ですから、マイクロ波が通過できないくらいの穴をあけているのです。

もし、使える電波の周波数がもっと高く、波長が短ければ、穴を小さくしなければならないので、中が見えなくなっていたかもしれません。

最後に

マイクロ波を使った加熱は、電子レンジだけではなく、工業的にも利用されていて、用途が拡大しているところです。

このような技術では、工業的に使われていた技術が家庭用に転用されるというのがほとんどですが、マイクロ波加熱は家庭用の方が先という珍しい例なのです。

家庭では一般的な電子レンジが、工業生産の最先端で研究されているというのは、なんだか不思議な気がします。

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