全固体電池とは? 待望の次世代電池がもうすぐ実用化

電池の分野で、一番ホットな話題と言えば「全固体電池」でしょう。

全固体電池は、次世代電池の高性能電池として期待されていますが、少し前まで実用化は2030年以降と言われていました。

しかし、各メーカーのしのぎを削る競争で開発が一気に進み、実用化が目前に迫ってきました。

全固体電池とはどんなもので、なぜこれほど注目されているのでしょう。

今回は、全固体電池の謎に迫ってみたいと思います。

全固体電池とは何か?

全固体電池というのは、言葉通り「全て固体でできている電池」のことです。

多くの電池では、電極材料(活物質)は固体ですが、その間に電解液と呼ばれる液体があります。

この電解液を固体にしたものが全固体電池です。

電解液の役割

電解液は、正極と負極の間で、電荷を持ったイオンを移動させる役割を持っています。

それを固体にするためには、イオンが移動する固体が必要です。

これを固体電解質と呼びます。

現在、開発されているのは、セラッミック系の固体電解質です。

全固体電池

全固体電池は何が凄いの?

電解質を液体から固体に変えるだけで、どんなメリットがあるのでしょうか。

現在、開発が進められているリチウムイオン二次電池の全固体電池を念頭に置いて説明してみます。

≫≫リチウムイオン二次電池とは何か? その仕組みを簡単に説明してみた

液体を使わないでいい

液体を使わないということから、次のような利点があります。

  • 液漏れの心配がない
  • 液漏れを防ぐ必要がないので構造が簡単になる
  • 液体を閉じ込めないので製造が簡単になる可能性がある
  • 可燃性の液体を使わないので発火の危険性がない

構造が簡単になるので電池自体が小さくできますし、安全性の高い電池になります。

液体よりも安定である

液体は高電圧では分解されていしまいます。

通常の使用でもわずかずつ分解して寿命を縮めていますし、高電圧をかけると分解に拍車がかかります。

その点、固体電解質は安定です。

そのため、

  • 寿命が長くなる
  • 急速充電が可能になる
  • 更に電圧の高い電極材料も使用できる

という特徴もあります。

温度変化に強い

液体は低温では凍る、高温では蒸発することからもわかるように、低温や高温の環境では使えません。

その点、固体電解質は基本的にはセラミック材料なので、温度変化、特に高温に強いという特徴があります。

ですから、

  • 高温、低温の条件でも使える
  • 高温になってもいいので冷却の心配がない

という利点もあるのです。

特に「高温になってもいいので冷却の心配がない」ことは、大きな利点です。

電池容量を上げようと狭い空間に押し込めると、どうしても温度が上がってしまいます。

そのため、液体を使う場合には温度上昇を抑えるために空間を開ける設計が必要でした。

しかし全固体電池にすると、その心配がないので電池を小さくできます。

現在のリチウムイオン電池に比べて、小さく、寿命が長く、急速充電ができて、安全性が高い電池になるのです。

固体電解質の開発

固体電解質には、イオンが動く隙間があることが必須で、イオンが動きやすいものほど抵抗が少なく(イオン電導度が高く)て理想的な材料になります。

実は、固体電解質自体は100年以上の歴史を持っているのです。

1914年に銀イオンが水溶液並みのイオン電導度を示す固体電解質が見いだされ、全固体電池の研究がスタートしました。

1950年頃には、いくつかの企業が全固体電池の試作品を作っています。

そして、実用化されたものもあります。

低電圧で長寿命を活かしたペースメーカー用電池、温度変化に耐えるための人工衛星用電池など

しかし、ここまでは基本的に充電のできない一次電池です。

現在研究が進んでいるのは、充放電できる二次電池、それも高容量のリチウムイオン二次電池の全固体化です。

全固体電池の課題は

二次電池

リチウムイオン全固体電池用の固体電解質の研究は進んでいて、実用レベルの高イオン電導を示す固体電解質も開発されています。

一番大きな問題は、電極と固体電解質との間に抵抗が発生することです。

電極自体、固体電解質自体は高性能でも、その接触面が邪魔をして性能を発揮できないのです。

展示会などでは、いくつかの企業が全固体電池の試作品を展示していますが、性能的に実用レベルに達していません。

しかし、トヨタ自動車が2020年代前半に商品化を目指すと発表、日立造船が2019年度中の商品化を目指すと発表、と実用化目前の発表が相次いでいます。

一度実用化されて市場ができあがると、そこからの進歩は凄まじいものがあります。

どんどん高性能化が進んでいくことでしょう。


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