応力緩和という言葉を聞いたことがありますか?

物質の挙動のひとつで、粘弾性学という分野で使われるものです。

今回は、この応力緩和について説明してみたいと思います。

また、応力緩和を人の心に例えてみました。

スポンサーリンク

応力緩和とは

まずは、学術的な話から始めます。

と言っても、わかりやすいので構える必要はありません。

応力とは

応力というのは、物体の内部にかかる力のことです。

簡単な例で説明しましょう。

固体に力を加えると変形して、加えた力と釣り合うような力が発生します。

外部応力

外からかけている力と内部で発生した力が釣り合う場所までいくと、それ以上変形しなくなります。

このとき、外部からかけた力または内部で発生した力を応力と呼びます(力を断面積で割ったものを指すことが多い)。

釣り合っているので、力の大きさはどちらでも同じです。

このように外部から力がかかっている場合「外部応力」と呼びます。

内部応力

外から力を与えていなくても、物質内部に応力が発生していることがあります。

バイメタルをご存知ですか?

2種類の金属板を張り合わせたものです。

金属は温度が上がると膨張しますが、その膨張の仕方は金属の種類によって変わります。

バイメタルは、温度を上げると膨張しやすい金属の方から膨張しにくい金属の方に向かって曲がることになります。

バイメタル

温度によってスイッチをオン、オフするサーモスタットなどに使われているものです。

では、図のように金属を3枚重ねて、温度をかけたらどうなるでしょうか?

どちらかに曲がることはありません。

でも、真ん中にある膨張しにくい金属は膨張しやすい金属に引っ張られてしまいます。

内部応力

この状態では、外部から力はかかっていませんが、内部で応力が発生しているのです。

このように、物質の内部に引っ張られている部分と圧縮されている部分があるような場合の応力を「内部応力と呼びます。

内部応力は、異なる物質をつないだ場合だけでなく、単独の物質でも発生します。

内部応力を利用したもの

あえて内部応力を発生させて、それを利用したものもあります。
強化ガラスがその一例です。
ガラスは表面が少し傷つくと、それをきっかけに(引っ張られて)割れてしまいますが、強化ガラスでは表面に圧縮されるような内部応力をかけて傷がついても割れないようにしています。

残留応力

外部から力を加えたときの応力は、力を取り除くと消えてしまいます。

しかしハードな条件で外部応力の発生を繰り返したりすると、力を取り除いた後に内部応力が残ってしまうことがあります。

これを「残留応力」と呼びます。

応力緩和とは

固体は弾性という性質を持っています。

力を加えると変形して、力を取り除くと元の形に戻るというものです。

外部応力

最初の図で説明すると、目的とする形まで物体を変形させるために赤い矢印の力が必要で、それと変形で生じた青い矢印の力が釣り合っています。

外からの赤い矢印の力を取り除くと、青い矢印の力によって元の形に戻るのです。

しかし、実際には同じ形に留めておくために必要な力(赤い矢印)は少しずつ小さくなっていきます。

これは、元に戻そうとする力(青い矢印)が少しずつ減少していくからです。

特にプラスチックなどの「粘弾性体」と呼ばれるものでは、応力が少しずつ消えていく現象が顕著にみられます。

これを「応力緩和」と呼ぶのです。

温度を上げるなど、分子が動きやすい条件にすれば、応力の緩和は速くなります。

粘弾性体とは?

粘弾性体については『物性でみる固体と液体 何もかも固体と液体のあいのこ?』という記事で詳しく説明していますが、簡単に言うと「固体と液体のあいのこ」の性質をもった物質です。

液体の場合、力を加えて変形させても元の形に戻ろうとする力は働きません。

これを「粘性体」と呼びます。

固体の性質である「弾性体」と液体の性質である「粘性体」の中間の性質を持っているので「粘弾性体」と呼ぶのです。

液体のような性質も持っていると考えれば、応力緩和という現象が起きるのも納得できると思います。

内部応力、残留応力の応力緩和

応力緩和を起こしやすい物質は、液体のように変形する性質の割合が大きいものです。

変形しやすいということは、構造物として使う場合には欠点となりかねません。

その反面、内部応力や残留応力が溜まってもそれが自然に取り除かれるので、金属疲労など残留応力が溜まることで破壊に至るような現象は起きない強靭さ(脆くない)があります。

どちらが、構造体として適しているのかは使用環境によっても違ってきます。

心との関係

ちょっと脇道に離れますが、「残留応力は人間の心と似ている部分があるな」と感じたので、そのことを書いてみたいと思います。

繰り返し大きな外部応力が発生すると、残留応力が残ります。

残留応力が大きくなると、物体内に小さな穴などの欠陥が発生し、それが続くと破損してしまいます。

そうならないように、応力を緩和しなければなりません。

なんとなく、人間の心と似ていると思いませんか?

ちなみに応力は英語で “Stress(ストレス)“と言い、緩和すること を”Relax(リラックス)” と言います。

ちょっと、英語混じりで応力について説明してみましょう。

外部ストレスが繰り返されると、残留ストレスが溜まり、それをリラックスさせないと壊れてしまうことがある

物質の応力のことを言っているのか、人間の心のことを言っているのか区別がつかないと思いませんか?

※「応力緩和」は、英語で「Stress Relaxation」です。

壊れないためには

ストレスリラックス

残留ストレスで壊れにくいものはどんなものなのか、物質の性質から考えてみましょう。

柔らかいもの

まずひとつ目は「柔らかいもの」です。

柔らかいものは、外から力がかかった時に大きく変形します。

このいうものは、残留ストレス自体が小さいのです。

何かあったときに、心が大きく変化する(その場で怒ったり泣いたりする)方が、じっと耐えるよりストレスが溜まりにくいといったところでしょうか?

流動性がある

次に「流動性があるもの」です。

液体のように自由に変形するものは、ストレスはすぐに解消されます。

自由に変化できる傾向が強いものほど、ストレスがリラックスしやすいのです。

柔軟で自由な思考を持っているほど、ストレスが解消されやすいといったところです。

スポンサーリンク

ストレスを解消する

これを踏まえてストレスの解消方法を考えてみました。

「柔らかいもの」から類推して、

感情を大きく表現できることをやってみる

「流動性があるもの」から類推して、

心を自由に開放する時間を作る

くらいが思い浮かびます。

あくまでも、物質の挙動からの連想しただけなので、医学や心理学的な裏付けも何もありませんが、何となく参考になりそうな気がします。

以上、少し無理やりぎみなところもありますが、応力緩和は人間の心に似ているという説明でした。

それにしても、英語って上手くできてますね。


スポンサーリンク

このブログが気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で